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「職場のメンタルヘルス対策の実務と法」(民事法研究会 2009年4月4日発行)
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「これだけで改正雇用保険法のすべてがわかる」(日本法令 2009年7月15日発行)
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9.再雇用
〜定年後再雇用の注意点〜
<X法人事件・東京地判平22.8.26 労判1013-15>
1 事件の概要 Aは平成21年3月31日に定年退職し、その後X法人に対して、再雇用を希望する旨の意思を表示しましが、X法人は再雇用を拒否しました。
そして、Aはこの再雇用拒否の意思表示は正当な理由を欠き無効であるとして、平成21年4月1日付で再雇用契約が締結されていると主張し、労働契約上の権利を有する地位になることの確認を求めて訴えを提起したものです。
Xの再雇用拒否の理由ですが、AがX法人の再雇用契約社員就業規則第3条において、「再雇用者として通常勤務できる意欲と能力がある者」と規定しており、この能力が欠けていると判断したためです。
2 裁判のポイント
1.法の趣旨、再雇用就業規則制定の経過及びその運用状況等にかんがみれば、同規則3条所定の要件を満たす定年退職者は、X法人との間で同規則所定の取扱い及び条件に応じた再雇用契約を締結することができる雇用契約上の権利を有するものと解するのが相当であり、同規則3条所定の要件を満たす定年退職者が再雇用を希望したにも関わらず、同定年退職者に対して再雇用拒否の意思表示をするのは、解雇権濫用法理の類推適用によって無効となるというべきであり、当該定年退職者とX法人との間において、同定年退職者の再雇用契約の申し込みに基づき再雇用契約が成立したものとして取扱われることになる。
2.定年退職者が再雇用されるための「能力」とは、その中心的なものとして当該職務を遂行する上で備えるべき身体的・技術的能力を意味するものと解するのが相当であるが当該職務そのものの内容や性質のほか、職務思考に必要な環境及び人間関係等に照らして、当該職務を遂行する上で備えるべき身体的・技術的能力を図るに当たって協調性や規律性等の情意(勤務態度)もその要素として考慮しなければならない場合もあると解せられる。 |
そして、最終的には、職務遂行に支障を来たす服務規律違反はなく、職務上必要な身体、技術的能力を滅殺するほどの協調性の欠如は認められず。再雇用拒否を無効としました。
3 裁判から学ぶこと 今回、注目すべきは、定年後再雇用に解雇権濫用法理の類推適用を当てはめ、要件を満たす社員の再雇用拒否は認めないとしたことです。
今後、年金の支給年齢が段階的に移行し、60歳以降の年金の受給がなくなる方向で調整される中、定年後再雇用拒否に関するトラブルは増えてくるのではないかと考えています。
そうした中、こうした裁判例が出たことは、再雇用に関する基準が不明確であれば、再雇用拒否が無効となるリスクが高まってきたともいえます。
特に注意する必要があると考えるのが労使協定です。労使協定の労働者側の当事者についても、きちんと民主的に選出しておかなければ、労使協定自体が無効となり、希望者全員の再雇用にもつながりかねません。継続雇用制度を導入している企業は、ご注意下さい。
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