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「職場のメンタルヘルス対策の実務と法」(民事法研究会 2009年4月4日発行)
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「これだけで改正雇用保険法のすべてがわかる」(日本法令 2009年7月15日発行)
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28.上司の嫌がらせ
〜会社の安全配慮義務や職場環境調整義務〜
<N社事件・津地裁 平21.2.19判決 労判982−66>
1 事件の概要
この事件は、交通事故で死亡した社員Aの両親が、N社に対して、違法で過酷な時間外労働に就労させ、上司によるパワハラを放置したとして、雇用契約に基づく安全配慮義務違反及び不法行為を構成するとして、慰謝料を請求したものです。
Aは、上司から今日中に仕事を片づけておけと命じられて、1人遅くまで残業せざるを得ない状況や、他の作業員の仕事を押しつけられて、徹夜で仕事をしたりしていました。
そして、上司から、勤務時間中にガムを吐かれたり、測量用の針の付いたポールを投げつけられて足を怪我するなどの嫌がらせを受けていました。
交通事故の当日は、Aは上司と近くのお好み焼き屋で飲食し、2軒目に行った後に作業所に戻ったところ、Aは作業所で宿泊するつもりでしたが、上司が帰宅を望み、飲酒運転を承知でAの車で自宅まで送るよう要求しました。そして、午後10時過ぎにAの運転の車は交通事故を起こし、A及び上司が死亡しました。
2 裁判のポイント
1.Aは N社に入社して2か月足らずで作業所に配属されてから、上司から極めて不当な肉体的精神的苦痛を与えられ続けていたことが認められる。そして 作業所の責任者はこれに対し何らの対応もとらなかったどころか問題意識さえ持っていなかったことが認められる。N社としても何らAに対する上司の嫌がらせを解消するべき措置をとっていない。
2.このようなN社の対応は、雇用契約の相手方であるAとの関係で、職場内の人権侵害が生じないように配慮する義務(パワーハラスメント防止義務)としての安全配慮義務に違反しているというほかない。
3.従って、N社は、雇用契約上の債務不履行責任がある。そして、同時に、このようなN社の対応は、不法行為を構成するほどの違法な行為であると言わざるを得ないから、この点についても責任を負うべきである。
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そして、判決ではN社の安全配慮義務違反が認められました。
3 裁判から学ぶこと
Aに対する上司の執拗ないじめがあり、最終的には交通事故というかたちで、死亡してしまった大変痛ましい内容です。
そして、今回は上司の横暴につき、他の上司が状況に気付いているにも関わらず、あえて改善措置をとらずに、放置していたことが問題です。
会社は、このようにいじめを受けている社員を守らなければなりません。
会社は安全配慮義務や職場環境調整義務があります。
例えば、社内の相談体制を整備して、被害者をサポートする取り組みが考えられます。
会社は、「社員をパワハラから守る」という気持ちをもつことが大切です。
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