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トップページ  最近の裁判例からみた人事労務管理の改善提案  安全配慮義務違反

最近の裁判例からみた人事労務管理の改善提案

19.安全配慮義務違反
〜過重労働による企業の安全配慮義務違反〜
<M社事件・前橋地裁平22.10.29 労判1024‐61>


1 事件の概要
 
 財務経理部長(残業手当の支給対象外として取り扱っていた地位の社員)であった社員Aがうつ病で自殺した件で、会社の安全配慮義務違反の有無等について争われました。

2 裁判のポイント

1.平成16年1月からAが本件うつ病を発症した平成16年7月までの6か月におけるAの時間外労働時間数は、平成16年2月から3月の時間外労働時間を除き、いずれも100時間を超えており、特に5月から6月は228時間を超えたものとなっている。前記の専門的知見によれば、月100時間を超える時間外労働に従事した労働者には、精神医学的配慮が必要であるといわれていることからすれば、これを超えるAの時間外労働時間数は、Aにとって極めて大きな肉体的・心理的負担であったといえる。
 また、Aは、平成16年4月は休みが1日も取れず、5月及び6月は、それぞれ休みが2日しか取れていないのであるから、上記のとおりの極めて長時間にわたる労働による疲労を回復するための休息は、十分には取れていなかったといわざるを得ない。
 以上からすれば、Aの時間外労働数は、Aにとって極めて大きな肉体的・心理的負荷であったことは明らかである。

2.前記認定事実のとおり、平成16年4月以降、Aの業務の負担は、質及び量ともに増加し、さらに被告会社の職場環境としては、Aを支援する体制が整えられていなかったことが認められる。そのような中で、Aは、被告会社の存続に必要不可欠な資金繰りの心配や、投資会社との折衝など、精神的な緊張を強いられる業務に携わり、平成16年7月にはうつ病を発症し、精神的に疲弊していた中で、平成16年8月には、自らが折衝していた投資会社からの投資を断られたり、被告代表取締役丙川からメールで叱責されるなど、大きな精神的負担が加わったことが認められる。

3.
以上の事情に照らすと、Aには、平成16年4月以降、業務内容自体の過重性により肉体的・心理的負荷があったと認められる。


 最終的には、会社の安全配慮義務違反が認められました。

3 裁判から学ぶこと
 本件では、財務経理部長として残業手当の支給対象外としていた社員について過重労働による企業の安全配慮義務違反が問題となった点が注目されます。
 このように労基法上の管理監督者としている場合は、労働時間管理がなじまないとして、あえて時間外労働管理をしていない会社もあるかもしれません。
 しかし、管理監督者も安全配慮義務の観点から時間外労働時間数の把握は、とても重要になります。この裁判でも長時間の時間外労働について問題視しています。

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