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「職場のメンタルヘルス対策の実務と法」(民事法研究会 2009年4月4日発行)
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「これだけで改正雇用保険法のすべてがわかる」(日本法令 2009年7月15日発行)
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トップページ → 私傷病休職・復職に対する改善提案 → 復職可否の判断基準
<復職可否の判断基準>
これまで、私傷病休職についての検討をしてきました。では、休職をしていた従業員が、どのような状態になれば復職できるのでしょうか。
これは、重要な問題です。ぜならば、多くの就業規則では、次のような規定があるからです。
| 第○条 私傷病休職期間が満了しても、休職事由が消滅せず、就業が困難な場合は休職期間の満了をもって退職とする。 |
これまで何度か書いてきた通り、私傷病休職は、一種の「解雇猶予措置」です。よって、多くの就業規則では、休職期間中に傷病が治癒すれば復職となり、治癒しなければ自然退職または解雇となる規定が定められています。
治癒しない従業員は、職を失ってしまう訳ですから、「復職可能か否か」をめぐり、トラブルが起こりがちです。そして、労働基準法には休職・復職についての規定がありませんので、裁判を参考とすることになります。
この点につき、実務に最も影響を与えた判例があります。
片山組事件です(最1小平成10.1.9)。少し長いのですが、以下に判決のポイントをあげてみます。
(1) 従業員が、職種や業務内容を特定せずに労働契約を締結した場合において、
(2)就業を命じられた特定の業務について労務の提供が完全にできないとしても、
(3)「他の業務」について労務の提供することができ、
(この場合の「他の業務」とは、能力・経験・地位、企業の規模・業種・従業員の配置,異動の実情・難易等に照らして、従業員が配置される現実的可能性があると認められるもの)
(4)その提供を申し出ているならば、
⇒復職を認める必要がある。 |
つまり、業務の限定なく採用し、配転可能な部署を持つ一定以上の規模を持つ企業においては、従業員が他の業務での復職を求める以上、これを認める必要が生じるということです。この判決により、復職の可能性が高くなったということが伺えます。
ただし、次に述べるような、復職を認めない裁判例なども現れています。
例えば、復職請求の拒否、休職期間満了を理由とする解雇が有効とされた、独立行政法人N事件です(東京地判平成10.3.26)。この事件では、医師の診断書は「通常業務は可能である」とされていました。しかし、その具体的内容は以下のようなものでした。
(1)この通常業務とは、休職前の軽減業務である機械的単純作業のことを指していました。(しかし、この従業員はこの単純作業をこなすことも困難でした。)
(2)復職後の業務量は、当面半年は、従前の半分程度にすべきであるとの趣旨でした。
これでは、実質的には休職期間の延長であるとも言えます。さらには、半年後には十分に職務を行える保障もなく、他の軽微な職務に配転でき具体的な可能性もないとして、解雇を有効としました。
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本件では、会社の業務上、金融等の知識・経験を駆使した高度な判断などが求められているところ、単純作業でさえもできなかったという事案です。また、休職期間も2年6ヵ月の長期にわたった例です。そして、復職に際し作業テストを行いその結果を踏まえ医師の意見をあおぎ休職を更新するなど、会社も努力をしていたことがうかがわれます。
このような点は、実務においても参考とすべきと考えます。
以上のように、復職可否の判断は、種々事案によって慎重に行う必要があります。
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